障害年金とは、病気やケガが原因で日常生活に困っている方に国から支給される給付金(年金)です。20歳〜64歳が対象、年金保険料を一定期間納入していた方が対象、現在、日常生活に支障がある方が対象など、一定の条件を満たしていればもらうことができる公的な制度で、老齢年金と同様、公的年金です。
障害年金は、障害の認定基準が複雑です。また、書類の書き方で障害の等級が本来得られる等級よりも下がったり、支給してもらえなかったりします。一度不支給となった申請を覆すには時間と労力がかかります。そのため、私たち障害年金専門の社会労務士が、申請のお手伝いをさせていただいております。
障害年金の対象となる主な傷病は以下の通りです。
眼 | ブドウ膜炎、緑内障(ベーチェット病によるものを含む)、白内障、眼球萎縮、網膜脈絡膜萎縮、網膜色素変性症、網膜はく離、腎性網膜症、糖尿病網膜症など |
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聴覚、平衡機能 | 感音性難聴、突発性難聴、神経性難聴、メニエール病、頭部外傷又は音響外傷による内耳障害、内耳障害など |
鼻腔・口腔言語 | 外傷性鼻科疾患、上顎癌、上顎腫瘍、喉頭腫瘍、喉頭全摘出手術、失語症、脳血栓(言語)など |
肢体の疾患 | 事故によるケガ(人口骨頭など)、人工関節、変形性股関節症、肺髄性小児麻痺、脳性麻痺脊柱の脱臼骨折、脳軟化症、くも膜下出血、脳梗塞、脳出血、脳血管障害、上肢または下肢の切断障害、重症筋無力症、上肢または下肢の外傷性運動障害、関節リウマチ、ビュルガー病、進行性筋ジストロフィー、脊髄損傷、パーキンソン病、強直性脊髄炎、脊髄の器質障害、ポストポリオ症候群など |
精神疾患 | うつ病、双極性障害、統合失調症、てんかん、知的障害、発達障害、アスペルガー症候群、高次脳機能障害、アルツハイマーなど |
呼吸器疾患 | 気管支嘆息、慢性気管支炎、肺結核、じん肺、膿胸、肺線維症、肺気腫、呼吸不全 |
循環器疾患 | 心筋梗塞、心筋症、冠状僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、先天性疾患など |
腎疾患 | 慢性腎炎、慢性腎不全、糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎、人工透析など |
肝疾患 | 肝炎、肝硬変、肝がんなど |
糖尿病 | 糖尿病(難治性含む)、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症など糖尿病性と明示されたすべての合併症など |
血液 | 再生不良性貧血、溶血性貧血、血小板減少性紫斑病、凝固因子欠乏症、白血病、悪性リンパ種、多発性骨髄腫、骨髄異形性症候群、HIV感染症など |
その他 | 人工肛門、人工膀胱、尿路変更、クローン病、潰瘍性大腸炎、化学物質過敏症、白血病、周期性好中球減少症、HIV、乳癌・胃癌・子宮頸癌・膀胱癌・直腸癌等のがん全般、悪性新生物、脳脊髄液減少症、悪性高血圧、その他難病など |
障害年金の種類は、大きく分けて3種類あります。初診日時点で納入していた年金制度によりもらえる障害年金の種類が決まります。 年金制度と等級、申請可能な障害年金は下記の通りです。
年金制度 | 等級 | 障害年金 |
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国民年金 | 1級 | 障害基礎年金1級 |
2級 | 障害基礎年金2級 | |
厚生年金(共済年金) | 1級 | 障害基礎年金1級,障害厚生年金1級 |
2級 | 障害基礎年金2級,障害厚生年金2級 | |
3級 | 障害厚生年金3級 | |
未満 | 障害手当金 |
障害基礎年金は、現在の障害や病気の症状の重さによって異なる障害等級とお子様の人数により金額が決まります。障害厚生年金は、現在の障害や病気の症状の重さによって異なる障害等級と配偶者の有無により金額が決まります。障害共済年金は、共済組合の組合員であった期間内に初診日が該当する方が対象となります。障害厚生年金と基本的な仕組みは同じです。
障害年金 | 等級 | 年金額 |
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障害基礎年金 | 1級 | 777,800円×1.25=972,250円(+子の加算額) |
2級 | 777,800円(+子の加算額) | |
障害厚生年金(障害共済年金) | 1級 | 報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級(+配偶者加算額) |
2級 | 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級(+配偶者加算額) | |
3級 | 報酬比例の年金額(最低保証額 583,400円) | |
未満 | 報酬比例の年金額×2年分(最低保障額 1,166,800円) |
金額は令和4年度のもの。年度によって金額が変わります。
第1子・第2子は1人につき223,800円、第3子以降は1人につき74,600円
配偶者は、223,800円
障害年金を受給するには、いくつかの用件を満たす必要があります。
国民年金・厚生年金・共済年金の加入期間中に、障害の原因となった傷病に対して医師または歯科医師の診察を受けていることが必要となります。そして、この診察を初めてうけた日のことを初診日といい、書類で証明できる必要があります。「どこが初診日かわからない」「通院していた病院が思い出せない」など初診日が明確にわからないと不支給になることがあるため、十分注意しましょう。
初診日までの納付必要期間に対して3分の2以上納付していること、初診日の過去1年間に年金未納がないことが必要です。保険料の納付を免除されていた期間は納付扱いとなります。また、20歳前の方は保険料納付は問われません。障害年金申請の前に保険料納付に関してしっかり確認しましょう。
障害年金をもらうためには、障害認定日において一定の障害の状態にあることが必要です。障害認定日とは、障害の認定を行うべき日のことをさし、初診日から起算して1年6ヶ月を経過した日を指します。ただし、特例として上記に関わりなく請求手続きが行える場合もあります。
人工透析をしている場合 | 開始から3か月を経過した時 |
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心臓ペースメーカーや人工弁を装着した場合 | 装着した日 |
手足の切断障害の場合 | 切断された日 |
人工肛門や人工膀胱の増設をした場合 | 増設した日 |
医師が症状固定と判断した場合 | 初診日から6ヶ月以上経過した時で診断書に書かれた診察日 |
障害年金には様々なパターン・組み合わせがあります。適切な内容で申請しないと減額・不支給となることもありますので十分注意しましょう。
障害年金は、最大5年間までさかのぼって請求することができます。例えば、障害基礎年金(国民年金)2級の5年遡及の場合、約78万円×5年で約390万円を受給することができます。このように、高額な補償を受けることのできる制度なのです。
一度不支給となると、再提出に時間がかかりますが、再申請という形で申込ができます。審査請求でも受給ができなかった場合には、再審査請求を行います。再審査請求でも通らなかった場合は支給停止事由消滅届を提出し、最初から裁定請求を行うこともできます。書類が煩雑であったり何度も書類を提出したりと負担が大きくなります。そのため、年金の専門家である社会労務士に依頼して書類を作成することも検討しましょう。